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鼠径ヘルニア
  • 2023/03/13
  • 症例について

こちらの症例は老齢ダックス、18歳、鼠径ヘルニアと診断した症例です。トリミング後から元気が無く、お腹が腫れているとの主訴で来られました。

X線を撮影したところ、

写真の赤丸で示す部分に消化管のガスが認められます。鼠径という股の付け根の部分から腹腔内の消化管が逸脱しており、鼠径ヘルニアが認められました。よくよく飼い主様にお話を聞きますと、小さい頃から鼠径からはぽこっと膨らみが出ていたとのことでしたが、年月をかけて徐々にヘルニア輪が大きくなり、今回トリミング時に興奮したために一気に腹圧がかかり、消化管が逸脱してしまったと想像されました。

開腹手術を実施しますと、

このように逸脱した部分の消化管は壊死し、一部穿孔も認めました。

日常の診療でこの鼠径ヘルニアはよく遭遇します。ワンちゃん達は大抵症状をださないため、飼い主様方もそのまま経過を見ている方が多いかと思われます。鼠径ヘルニアの内容物が腹腔内の脂肪であればまずもって問題ないかと思われますが、今回のように消化管が逸脱したり、過去には膀胱、子宮、卵巣なども逸脱している症例に遭遇しており、このような場合は取り返しのつかない事態になりかねないと思われます。手術法もヘルニア輪が小さい場合は単純な術式で解決しますが、年月が経過しヘルニア輪が大きい場合、人工メッシュを当てるなど単純な手術で済まない場合も出てきます。

今一度お腹の部分を観察していただき、問題がありそうな場合は一度ご相談ください。

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