消化管異物④
- 2023/06/12
- 症例について
こちらの症例は2歳、10kgの元気盛りのビーグル犬です。数日食欲がなく元気がないとの主訴で来院されました。以前より誤食グセがあるそうで、X線を撮影してみると、、
胃の中にはX線不透過性の異物(結果的に石ころでした)と、消化管には明らかな異常なガス貯留(前部拡張)が認められました。エコー検査も実施しましたが消化管内異物が疑われましたので、開腹手術を実施しました。
上の写真の空腸領域は充血し、消化管が引きつれを起こしています。腸切開を行うと、、
布が消化管の中で引き伸ばされ、ひも状の異物になっていました。同時に胃切開も行い、胃の中の石も摘出しました。
余談ですが、異物の中でもヒモ状異物は致死率が高い疾患として捉えられています。固形異物とは異なり、消化管も同時に引きつれを起こすため、消化管の至るところが穿孔したり、壊死を起こし、消化管切除を実施しなければならない状況に陥ることもしばしばです。しかしながらそのような消化管は癒合も悪く、また症例自身の血液状況も悪いため、癒合不全、敗血症を起こすことが死因となります。