股関節脱臼
- 2023/07/14
- 症例について
今回の症例は、後肢を挙げているとの主訴で来院されました。昨日階段から滑り落ちたと話されていました。
X線では上の写真のように右後肢の股関節脱臼を認めました。
一般的に脱臼の整復方法として、非観血的(関節を露出しない)整復法と観血的(関節を露出する)整復法があります。併発疾患の有無やその重症度、受傷からの経過日数などに基づいて治療方針を決定しますが、外傷性脱臼の場合、受傷後早期(4〜5日以内)であれば、鎮静下で脱臼を整復できる場合があります。非観血的整復法では、統計的に47〜65%の再脱臼率が報告されていますので、約50%はうまくいきますが、約半数は再脱臼を起こしてしまうことになります。再脱臼を起こした場合は、手術による観血的整復法が必要となります。
今回の症例は、鎮静下でこのように包帯を巻き、2週間の安静期間を指導したところ、幸いにして再脱臼もなく順調に経過しています。