犬の尿道結石
- 2024/04/08
- 症例について
こちらの2症例は、おしっこが出ないという主訴で来院された2症例です。
1例目はBw45kgのドーベルマン、未去勢オスの症例です。排尿のポーズを取るも、おしっこが出ないとの主訴で来られました。
X線造影検査を実施しますと、
赤丸で囲んだ部位に充填欠損像が写り、尿道結石があることがわかります。体重も性格もパワフルなため、麻酔下でこの結石を破砕し、水圧法にて結石を膀胱内へ押し戻そうと試みましたが、尿道粘膜に強く食い込んでおり、開通させることが困難でした。このまま排尿できないと危険な状況に陥るため、緊急手術にて尿道切開を実施し、結石を摘出しました。
無事に結石は摘出できましたが、結石の成分はシスチンという特殊な成分で、腎臓の尿細管という構造が遺伝的に異常をきたしてしまうことが原因で結石が形成されることがわかっています。今後は療法食による食事管理が必要です。
2例目はBw10kgの柴犬、未去勢オスでやはり排尿困難で来院されました。
X線でわかりづらいですが赤丸部分の陰茎骨手前と会陰部に数珠状に結石が詰まっています。麻酔下で膀胱内へ押し戻そうと試みましたが結石が全く動かない状況でしたので、手術にて陰茎骨近位の尿道切開、会陰部尿道切開、膀胱内も多数の結石を認めていたため、膀胱切開による結石の摘出を実施しました。
退院時の尿道造影においてもリークや狭窄などなく、元気に退院していきました。