会陰尿道瘻術
- 2021/08/30
- 症例について
猫ちゃんを飼われている方は、一度はおっしこのトラブルで膀胱炎と診断されたことはありませんか?猫ちゃんの尿のトラブルは非常に多く、猫下部尿路疾患(FLUTD)と言われています。当院でも猫ちゃんの泌尿器疾患は非常に多く外来で来られています。症状は頻尿、血尿から排尿困難まで様々ですが、原因はおおまかに食事と体質です。結石症や膀胱炎に対しては食事療法や内服などの内科治療がメインとなりますが、結石がうまく溶けない場合は手術が必要となります。
症例は雄猫ちゃんの会陰尿道瘻術を行なったものです。雄猫の場合、尿道先端は2-3mmと非常に細く、ここに結石や栓子が詰まると尿が出ないため排尿困難で膀胱がパンパンとなり、最終的には腎臓にまでダメージを与えてしまい、最悪の場合おしっこが出ないがために急性腎不全で亡くなってしまいます。この症例は内科治療を行っても、尿閉塞を繰り返していたため、会陰尿道瘻術を行い、太い部分の尿道を肛門下に設置しています。
ちなみにこの手術はあくまでも結石が詰まって上記の理由で亡くなってしまわないようにするためのもので、尿石症を治すための手術ではありません。引き続き内科治療は必要です。
余談になりますが、メス猫ちゃんがおしっこが出ないと問い合わせを受けることも多いですが、メス猫の場合その症状は頻尿と力みかと思われます。メス猫の尿道は太く、おしっこが結石で詰まることはほぼないため(ほんの稀に数例経験はしていますが)、ご安心を。