猫の口内炎
- 2021/09/17
- 症例について
猫ちゃんの口内炎はよく遭遇する病気の一つです。猫ちゃんが口を手でひっかいたり、よだれや口臭、餌を食べる際に痛がるといったところで飼い主様は気づかれるでしょうか。
この地域は外に出入りしている猫ちゃんも多く、そもそも猫エイズという免疫不全ウイルスに感染している猫ちゃんが多いため、抵抗力や基礎体力もなく、口内炎の発症が非常に多いかと思われます(通常の口腔内細菌なんかでも抵抗力がないため炎症を起こしてしまいます)。猫エイズに感染していると根治することはなかなか難しく、抗生物質や痛みや炎症をとるためにステロイドを投与する治療となります。
この症例の猫ちゃんは口内炎を主訴に来院し、幸いにして猫エイズには感染していませんでしたが、他の上部気道ウイルス(カリシ、ヘルペスウイルス)により口内炎がなかなか治らない状況でした。
写真のように歯が全て抜かれていますが、全臼歯(犬歯;細長い歯より奥歯の全て)を抜歯してやることで、口腔内の細菌数を減らし、口内炎の発症が抑えられることがわかっています。この治療をすることで必ずしも完治というわけではないですが、感覚的には猫エイズを持っていなければ7-8割は完治している印象です。2-3割も完治とまではいきませんが、内科治療を軽減できているかと思います。
実際これだけの歯を抜くわけですので、猫ちゃんも痛いかと思いますが、長期的な痛みに比べれば、適切に痛み止め等使って入院管理を行っていけば問題ないかと思います。