子猫の骨折
- 2021/10/06
- 症例について
推定1ヶ月半、体重なんと500グラムの子猫ちゃんです。おそらく交通事故にあったのであろうとの主訴で来院されました。
X線撮影を実施したところ、左上腕骨、左大腿骨頭、恥骨、尾椎と骨折していたのですが、こういった若齢の子猫ちゃんの場合、例え骨折していても、変位(骨のズレ)がわずかであれば保存療法(安静)で治ることが十分期待できます。このことから左大腿骨頭、恥骨、尾椎は保存療法で大丈夫だと判断したのですが、左上腕骨の骨折は骨のズレが大きく、たとえ周囲組織が固まっても骨同士がくっつくことはなく、時間経過とともに皮膚から骨が突き出たりと合併症も考慮されたため、手術にて整復することが望ましいと判断しました。
しかしながら問題は麻酔リスクです。500グラムしかないため、血管確保も手こずりましたし、気管チューブが挿管できなければ、マスク管理で麻酔薬を吸引させ手術を行うこととなりますので非常に不安定な麻酔管理となってしまいます。幸いなことにこの子猫ちゃんは気管チューブも挿管でき無事に手術を終えることができました。
手術は髄内ピンを2本入れて整復しています。私の指の太さからしてもいかに骨が繊細でもろいかが想像つくのではないでしょうか。
2-3週間したらこのピンも抜去する予定です。子猫の治りは早いです。
保護してくれた飼い主さんにも感謝です。