造影検査①
- 2021/10/20
- 症例について
今回立て続けに尿路造影検査を二例しましたので紹介いたします。
一例目は排尿できないワンちゃんです。トイレに行くもじっと力んで尿が出ないとの主訴で来られました。来院時、写真のようにどす黒い尿で膀胱がパンパンのようでしたので、排尿困難と言われるような状態でした。
検査では一通りX線、超音波検査にて膀胱から近位尿道を見ますが、排尿障害になるような明らかな異常が見つけられず、骨盤腔内の尿道評価のため造影検査を実施しました。
膀胱に造影剤を入れて圧迫しても造影剤を順行性(膀胱→尿道へ)に流すことができず止まってしまい、写真のように逆行性(尿道口→尿道、膀胱へ)へ造影剤を流しています。そうしますと赤丸の部位に尿道粘膜の不整や造影剤が欠損する陰影が認められ、狭窄が疑われる所見が得られました。この部位からカテーテルで細胞を採取したところ、病理検査は尿路系上皮癌を疑うとのことでした。
症例は外で飼われている番犬です。治療方針が難しく、今後どのような形かで排尿をさせていかなければなりません。外で飼われていると排尿のケアもなかなかです。
飼い主様と相談して最適な方針を決めていきたいと思います。