造影検査②
- 2021/10/21
- 症例について
二例目も尿が出ないとのことで来られた猫ちゃんの症例です。猫ちゃんの場合、オスで排尿困難と言われた場合、大概が尿道結石による尿閉塞です。今回もそうだと思い検査を進めたところ、エコー検査にて写真の矢印部分に腫瘤を認めました。赤丸の膀胱の大きさからしても腫瘤が大部分を占めています。
今回の症例は、実際に尿閉塞を起こしていたのですが、原因が結石ではなく、この腫瘤からの出血や血餅、栓子が尿道に詰まったために閉塞を起こしたのではないかと考えられました。
腫瘤が大きく全容が把握できないため、膀胱二重造影を実施しています。
造影剤と空気を入れて撮影すると、くっきりと腫瘤陰影の外貌がわかり、さらには広範囲な面積で膀胱粘膜から発生していることがわかります。はじめは膀胱タンポナーデと言って、大きな血餅かと思ったのですが、この検査をしますと膀胱腫瘍ではないかと推測されました。
いづれにしても外科的な対応が必要でしたが、猫ちゃんが高齢でありかつ猫エイズも持っていたことなどから、飼い主様が内科的に管理をしていこうかと選択されました。これも一つの考え、答えかと思います。猫ちゃんは今のところ腎不全も治り、頻尿血尿は続くのですが、痛み止め等内服させて元気に食事も取れています。痛みをおさえ少しでもよりよく生活できればと思います。