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脾臓摘出
  • 2022/05/25
  • 症例について

症例は14歳の高齢ミニチュア・ダックスフンドです。ぐったりしているとの主訴で来られました。

全身精査を行ったところ、写真赤丸に示すように腹腔内の大部分を占拠する巨大な脾臓腫瘍を認め、さらにこの脾臓腫瘍から腹腔内へ出血していることがわかりました。

ワンちゃんは起立できないほど具合も悪く、出血による貧血、循環不全によるショック状態でした。まずは内科的に点滴治療を実施し改善するか経過を見ることとしたのですが、症例の状態は一向に改善しません。

脾臓腫瘍は統計的に2/3は悪性腫瘍、1/3は良性腫瘍とわかっています。万一悪性腫瘍であった場合、症例ワンちゃんは手術が成功してもそう長生きできないかもしれない、年齢的に見てももしかすると寿命を迎える年かもしれない、内科治療では改善の見込みがない、手術をすることのリスク、、、飼い主様の不安や葛藤はよく理解できます。

今回の症例の場合、転移を疑う所見が画像上乏しかったこと、輸血を実施して短時間で手術を終えれれば、麻酔にも耐えうるのではないかと予想されたこと、、私の技量、、、楽観的な見方はしませんが、飼い主様と十分相談した上、飼い主様ももう少しワンちゃんと一緒に生活されたいとのことでしたので手術を実施する運びとなりました。

脾臓は原形をとどめないほど破壊的に増大していましたが、無事に摘出され手術は終えました。ワンちゃんの状態が持ち上がるまでに1週間くらいかかりましたが元気に退院できました。

後日病理検査の結果が出まして、「脾血腫」という診断名でした。脾臓血管が切れて出血してしまいこのように腫れてしまったとの事でした。何故出血してしまったのかはさておき今後の検討課題ですが、良性病変でしたのでまだまだ長生きをしてもらいたいです。

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