大腿骨頭壊死症(レッグペルテス病)
- 2022/06/23
- 症例について
大腿骨頭壊死症(レッグ・カルベ・ペルテス病)は若齢期の小型犬の大腿骨(太ももの骨)の骨頭が壊死してしまう疾患です。人でもみられるこの病気ですが、4~12ヵ月齢の成長期に発症し、特に6〜7ヶ月齢に多くみられ、まれに両側性に発症することもあります。原因がいまだはっきりとはわかっていない疾患ですが、病態としては大腿骨の大腿骨頭に栄養を供給している血管が減少し血液供給が途絶え、その結果、大腿骨頭に虚血、壊死が生じます。
大腿骨頭壊死症は股関節伸展時に強い痛みを示すため、跛行や挙上といった症状で飼い主様方は気づかれるかと思います。進行すると大腿骨頭の壊死が進み、頻繁に壊死部分で骨折が起きるため、疼痛によって犬は罹患した足を使用しなくなり筋肉量が減少し、後肢が細くなっていきます。
症例は8ヶ月齢のTプードル、雄のワンちゃんです。後ろ足を浮かして逆立ちで歩くようになってきたとの主訴で来院されました。
X線を撮影しますと両側ともに大腿骨頭壊死症を発症し、大腿骨頭部に骨折や亀裂を認めます。内科的に見ても改善は乏しいので、外科的に大腿骨頭骨頸部切除を実施しました。
このように切除した骨頭は骨折しています。
今回は症状が強い左後肢を実施しました。傷が癒え、ある程度左足で負重できるようになったら反対側を実施しようと考えています。