橈尺骨骨折③
- 2022/07/28
- 症例について
今回の症例は3ヶ月齢、900gのトイプードル。
落下させてしまったとのことで来院されました。
X線を撮影しますと右前肢の橈骨骨折を認め、前肢を挙上していました。
今回の症例で悩ましいのは治療法です。症例は900gと小さく骨折部分の骨幅も3mm弱しかなく、特殊なプレートでしか整復は難しいと考えられました。橈尺骨骨折①で示したようなピンニングによる整復も考慮しましたが、骨折部分を見ましても尺骨は折れておらず、3ヶ月齢であったため若木骨折と言い、ポキっと折れているわけではなく、竹がしなるような折れ方をしていることが特徴的な骨折でした。その為、治療法としましては、鎮静化で骨折部分を骨のしなりとは逆方向に整復し、外からギブスを巻いて整復する外固定を選択しました。
鎮静剤で寝ていますが、このようにギブスによる外固定で整復されました。外固定の欠点は治療中に骨がずれたりしては治らないため、その場合は手術による整復が必要になる点です。動物はなかなか言ったことを聞いてくれない為、骨が化骨されるまでの1ヶ月間は安静が必要です。
今回この1ヶ月弱で3例の橈尺骨骨折を診療しました。治療法も様々でその子にあった最適な方法を飼い主さんと決めていくことになります。
そして、近年日本国内においても、最も多いワンちゃんの骨折は小型犬の橈尺骨骨折です。少しの段差からでも簡単に骨折してしまいます。くれぐれもお気をつけください。